インターネット絵本   


一日だけの 雪ダルマ

作 構成 メリー おばさん
                              



                


 
  雪が降りました 

  街は真っ白・・・まるで綿の帽子をかぶったようです
  街燈も震えているようです 
  くしゃみのように不思議な音で雪を落とします


     シャカ・・シャカ・・シャカーン


  音は夜の闇に クワーン・・・と広がって
  いつもとは違う世界が広がってゆきました

  そんな街で 子猫の ミルは迷子になってしまいました
  真っ白な世界で おうちに帰る道が
  わからなくなってしまったのです


     ミャーオ ミャー

  いくら鳴いても 何にも聞こえません 
  グルグル 街を回って すっかり疲れてしまった ミルは・・・・
  うとうと眠って しまいました
                

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               ミャーーオ・・・・





 その晩は しんしんと降る雪で すっかり冷え込み
 ミルの体も寒さに震えていました

 そんな時です・・・・・・・
 誰かさんが ミルを暖めてくれました
 それは とても大きくてフックラとした優しい・・・・
 今まで 逢った事のない物でした 

 そう・・・・・・・・・雪だるま☆  だったのです

 雪だるまは 両手を組んで
 ミルの上に降り積もる雪を受けてくれました

 次の朝、目を覚ますと・・・・ ビックリしたミルに向かって
 大きな雪だるまが 語りだしました
 「ゴメンネ・・・ビックリした? 君にとっては初めての雪なんだよね
 僕は 雪だるまといって 雪で出来ているのさ。。。でも
 フツーの雪だるまと違うんだ 一日だけの雪だるまなんだ
 毎年最初に降った雪の日だけ、地上に降りてくる事が出来るのさ

 一日だけって言うのはね・・・・・
 次の日、晴れてしまうと消えてしまうんだ
 あーあ。。。。もうすぐ夜が明けるね 曇りだといいなあー

 君と一緒に母さんを探してあげたいから・・・・・・・・・・」

 やがて 空が少しずつ明るくなって来ました              


           


        ボクは一日だけの雪だるまさ             
  ・・?    







 次の日は・・・曇りでした
 昨日 降った雪が あたり一面を真っ白につつんで

 ミルが今まで見ていた街と違う夢のように綺麗な世界が

    シュワー・・・サワサワー

           ・・・・・・と広がっていました

 「さあー・・・・出かけよう君の母さんを探しに
      僕の背中につかまって・・・・・・   」 

 ミルは雪だるまの背中に、しっかりとつかまりました
 雪だるまの背中は大きくて

 「ふんわりしていて、母さんに似てる・・・・・」
      ・・・・・・・・ と ミルは思いました

 二人は 夜が明け始めた町を グングン〜飛び始めました
 あたり一面が まるで全部 アイスクリームに
 なってしまったみたいで
何も見えません

      「かあさーーん。。。。。。。。」

 ミルは悲しくなって 思わず雪だるまの背中にしがみつきました
 雪だるまのフックラとした手は優しく なぐさめてくれるのでした 

           


                       かあさーーん


                 





 その日は とうとう母さんには逢うことが出来ませんでした
 淋しいけど・・・・・・  雪だるまさんに守られて眠ったのです

 やがて夜が明けてきて
 ホウホウー鳴いていた 夜の鳥も森に帰って・・・・・・

     新しい朝が始まろうとしていました

 そんな時です ・・・・・
 雪だるまが ミルに 大きな声で 「サア-出かけよう・・・・」
 と言ったのです 

 「まだ 暗いけど・・・もう、行くの?」

 ミルは不思議な顔で 雪だるまにたずねました

 雪だるまは悲しい顔で こう言ったのです
 「きょうは 晴れてしまうかも知れないから・・・・・・」

 空は、昨日とは違って グングン明るさを増していました
     


                            
           
           
              
              

                         さあー 元気だして   
うん 




 「ほんとうに・・・・・おかあさんに。。逢えるかなあー。。」
 ミルは ちょっぴり不安になってしまったのです      

 「大丈夫だよ。。必ず 見つかるよ                   
信じていれば、きっと幸福になれるよ。。」

雪だるまは 背中に乗せたミルを振り返り 励ましてくれました
  

街の上を、どれくらい飛んだでしょうか?              
ミルの瞳に 見たことのある大きな木が見えてきました     


 明るさを増した空が 青色に輝こうと準備を始め          

遠く・・・・・・小鳥達の目覚める声も聞こえ             
きょうの日が始まろうとしていました                 

そのときです!!    

ズーーンと広がった真っ白な雪の上に               
 懐かしい 母さんの足跡が点々と。。。。。。。。。
                

                                
                  



         ピュ−ン〜
びゅーーん!!

    
                     












  ミルは 懐かしい かあさんの足跡を見つけたのです        地上に降りたミルの目の前に                    
 優しい かあさんの笑顔が待っていました              

「かあさん。。。」               

  かあさんの毛はフックラして温かくて・・・・ ミルは 幸福でした      

どのくらい時間が過ぎたでしょうか?                
  ふと・・・・・・・?ミルは 雪だるまさんの事を思い出しました        

  もう太陽は すっかり明るく町を照らしていましたから・・・・     

 「雪だるまさーーん。。。。。。」          

大きな声で、ミルが叫んでも                    
どこからも雪だるまさんは現れませんでした           

その時です・・・・雪だるまさんの青いボタンが          
雪がやんで出来たばかりの 水溜りに落ちていました      

ミルは 雪だるまさんの言っていた言葉を思い出しました    

「僕は・・・・・・一日だけの雪だるまなんだ」

又・・・・来年 逢えるかも知れないな・・・・・って
ミルは 青空の向こうを見上げました    

                                
                  

                

 

    
                     



 雪ダルマさん ありがとう






                                   
             
           
    


END

                   ありがとう御座いました 感謝を込めて・・・・・・・

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