雪が降っている大晦日の通りを
一人の少女がマッチを売りながら
歩いていました
貧しい少女は、おなかがペコペコ・・
今夜は誰もこの子からマッチを
買ってくれません
少女は座り込んで一本のマッチをすりました
かじかんだ指先を暖めようとしたのです
マッチは赤々と燃え、そのあたたかい炎に
大きなストーブの前に居るような気がして
「ああ、なんてあったかいんだろう…。」
けれども、その暖かさは
マッチが消えるとなくなってしまいました
そこで、少女はまたマッチを擦りました
するとその光の中に、暖かいごちそうが
いっぱいのっているテーブルが見え
少女が思わず手を伸ばそうとしたとき
マッチが小さく揺れて消えてしまいました
目に見えるのは雪が しんしんと降る町
少女はあわてて新しいマッチを擦りました
きれいなクリスマス・ツリーが現れたのです
どんなツリーよりも美しくて立派でした
少女がそのツリーを見上げていると
クリスマスツリーの明かりは
高く高く空に昇って、明るい星になりました。
次のマッチを擦ると・・・・・・・・・・・・・
その光の中に少女のおばあさんが
微笑んでいました
少女が大好きだった おばあさんです
「あっ!! おばあちゃーん・・・」
少女は明るい声をあげておばあさんに
あの暖かいストーブ、おいしそうなごちそう
明るいクリスマス・ツリーのところへ
連れていってくれるように頼みました
大急ぎで残っていたマッチを全部擦りました
あたりは一面に明るくなりました
おばあさんはこの少女を腕に抱え
二人は高く高く舞い上がってゆきました
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